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アトリのあれこれ
小さいけれど渡り鳥
さて!オレンジと黒のコントラストが美しい野鳥アトリ。
小さな野鳥です。
たとえるなら、大きさはスズメよりちょっぴり大きいくらい。
アトリは冬になるとシベリアの方からやってくる渡り鳥。
日本では冬鳥です。
ところで、「今年あんまり見ないな?」って年と、
「今年やたら見てる気がする」なんて年があることにお気づきですか?
お察しの通り、アトリには「当たり年」というものがあります。
もちろん、「当たり年」があれば「ハズレ年」もあるというわけです。
とどのつまり、飛来する個体数というのは年によって大幅に変化するということ。
つまりは、当たり年に当たれば・・・アトリ見放題!(笑)
そもそも、彼らはグループで行動するのですが、当たり年には、ナント!数千羽いや数万羽の大群を見ることができるそうです。
でも、いくら可愛らしいアトリちゃんでも数万羽もいっぺんに見たらちょっと気持ち悪いかもよ???
名前の由来!
アトリはアツトリ。
ところで、彼らは奈良時代より日本人になじみ深い鳥でした。
奈良時代の人も思ったのです。
「こいつら、よく集まる鳥だな~~~」って。
集まる鳥→アツマルトリ→アツトリ→アトリ
となったと言われております。
ふむ。
例えば、木村拓哉→キムラタクヤ→キムタク
みたいなもんかしらね。
余談ですが、日本人の発想は奈良時代から変わらないのも面白いです。
万葉集にも登場!
ところで、先ほど「アトリは奈良時代から日本人になじみの鳥だった」と書きました。
なぜ奈良時代か?・・・というと、「万葉集」や「日本書紀」に名前が出てくるためです
国廻るあとりかまけり行き廻り帰り来までに斎ひて待たね
万葉集 防人の歌
国をめぐるあとり、鴨、ケリ、(すべて鳥の名前)と同じように私も国を回って帰ってくるから
身を清めて待っていてね。というような歌です。
ブラック企業の社畜ばりに単身赴任のうえ重労働。
防人の気持ちが切ない歌です。
とはいえ、少しはカワイイあとりちゃんの姿を見て癒されたならいいな~。
アトリを見るにつけ、奈良時代の人もこの鳥を同じように見上げたのだと思うと感慨深いですね。
花鶏とかいてもアトリと読むよ
ところで、アトリという漢字は難しい字があるんです。
・・・ちょっと読めない・・・。
この字の他にも「花鶏」と書いても「あとり」と読ませる場合があるそうですよ。
花鶏
先ほども書きました通り、彼らは集団で行動する冬鳥。
さて、想像してください。
冬、葉の落ちた枯れ木にたくさんのオレンジ色の小鳥が鈴なりにとまっている様子を。
グレートーンの冬の景色の中、ビビッドなオレンジ色のふかふかの小鳥が枯れ木に鈴なり!
まさに!花が咲いたようではないですか。
花鶏と書いて「あとり」。
良い名前ですね。
オスとメスの見分け方
男の子はガングロ・女の子は色白
さて、オスとメスの見分け方。
それは結構簡単です。
男の子(オス)は、顔が黒い、女の子は顔が白っぽい。
簡単ですね。
オスは顔が黒っぽいんです。
実は、夏羽だと顔は真っ黒なんですが・・・冬羽だとベージュがかった色が入ってまだらです。
黒とベージュが入り混じって、「なんかお顔の柄が、とっ散らかってるな」って印象なんですが・・・
メスと比べると明らかに顔が黒っぽいので比べてみるとわかりやすいと思います。
そして、女の子は顔が白っぽい。
薄いベージュっぽいお色です。
全体的に、オスよりも黒味が少ないので、全体で見た時に「ほんわか優し気」に見えます。
余談ですが、色の印象って大事だなと、野鳥を観察していると思います。
こういう感覚って、服のコーディネートなどにも応用できそうですよね。
アトリはどこで見られる?
なにを食べているのかが、居場所をさぐるポイント
アトリは雑食。
小さなや木の実や桜の花芽などもお好みのようです。
つまり、彼らが集まるのは、農耕地や森林です!
農耕地では、落穂や虫などをついばみ、森林では木の幹にいる虫や木の実・草の実などを食べています。
つまり、野鳥を見たいけど、どこで見られるのかわからないな・・・って場合は、彼らが何を食料としているのかを調べると答えが見えてきますね!
東京でも見られる?
しかしながら、農耕地や森林の少ない東京。
とはいえ、そんな東京でも近郊でアトリが見られるスポットが!
たとえば、電車で余裕で日帰りできる場所。
例えば、例えば!それは「高尾山」!
高尾山のイヌブナが豊作の年で、アトリの「当たり年」の年には、高尾山で越冬することがあるとか。
しかも!その数、数千羽
すごい~~~。
冬樹に咲いた花鶏を見に、双眼鏡を携えて・・・いざゆかん!高尾へ~~~
どうぞ当たり年でありますようにと祈りをこめて。
今日は冬のオレンジ色のかわいいやつ・・・「アトリ」について書きました。
しかし・・・小さい体で、シベリアから渡ってくるなんて考えたすごいなあ。
可愛いだけじゃない、強さを秘めた小鳥でした。
ではまた次回!
今回使用した機材・画材
ステッドラー水彩ペン
ホルベイン色鉛筆
NIKON D500
Nikkor AF-S 200-500mm f/5.6E ED VR