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【伝統色とトリノイロ】アマサギ

目次

アマサギ

俳句の世界では夏の季語でもあります。
子供のころ、夏の水田で白いサギにまじっていたこの小型の美しいサギの姿を見たときの感動は、
今もなお私の記憶にとどまっていて、夏になると無性に会いたくなる鳥です。

アマサギの名前の由来

アマサギは全長46cm~56cmほどのサギ。
コサギよりもひとまわり小さな印象です。
夏鳥として日本へ飛来し、水田や湿地などでみられます。

アマサギは古くは鎌倉時代の「八雲抄」に「あまさぎ」として登場します。
「あかさぎ」や「しょうじょうさぎ」「ひさぎ」などとも呼ばれていたようですがいずれも橙黄色の夏羽の色のためであると思われます。
所説あるようですが、現代では、「あまさぎ」は飴色のサギ「あめさぎ」がなまったものであるだろうというのが一般的です。
「亜麻色のサギ」との表記も多くみられますが、亜麻は明治時代に北海道開拓使の榎本武揚によって日本で栽培が開始されたものであるため「亜麻色」もまたこの時代にできた色名であると思われます。
なので、やはり飴色のサギというのが正解かもしれません。

★Xにて言葉足らずでこのあたりについていくつかご指摘をうけました!Xは文字数が限られております。適当な言葉遣いにて誤解が生じましたことを反省をしておりますところです。言葉は的確に使わねばなりませんね。
★このほかにも雨鷺とか尼鷺などなど、いろいろな説があるようです。名前の由来は調べてみるととても面白いです!

薄香色(うすこういろ)

さて、今回の伝統色シリーズは、鳥の色を日本の伝統色でなぞらえようというもの!

私が、アマサギの色を日本の伝統色で例えるならば、「薄香色(うすこういろ)」でしょうか。

薄香というのは、薄い香色(こういろ)のこと。
香色は、やや赤味を感じる薄い黄茶色です。

丁子や木蘭などの香木を煮出して色を出し、染めた生地の色です。
濃い香色は丁子と鉄分と灰汁などの媒染を使って濃く染めますが、薄香はそれらを使わずほんのりと薄い色に仕上げます。
スパイスや香木で染めるため、染めたあともほんのりと香りが続くそうです。素敵。
平安貴族にも愛された色だというのも納得ですね。

夏に南国より飛来するアマサギ

薄香色を出すのに使う丁子というのは、別名クローブとも呼ばれるスパイス。
フトモモ科の樹木チョウジノキの花蕾のことです。
インドネシアや東南アジアが主な原産地。
日本へは古くから入ってきていたようで、正倉院御物にもみられます。

暑い国から遠い日本へ海を渡ってやってきたスパイスで染めた薄香色。
平安時代の日本人は、このエキゾチックな香りのする薄香色の衣を身に着けて、遠く異国の地に思いを馳せたでしょうか?

夏になると東南アジアなどから日本へやってくるアマサギ。
スパイスで染めた薄香色のイメージと、そんなアマサギのイメージは私の中でしっくりと一致するのでした。

*伝統色シリーズ
鳥の色は、図鑑や書籍などで端的に表現される場合がほとんどです。
しかし日本には、たくさんの色名が存在します。
「もっとこんな表現はどうかな?」「こっちの色が近い気がするな」そんな気持ちを素敵な日本の伝統色を紹介しながら綴るシリーズです。

*記載の色は色名に対する近似値(おおよそのもの)です。
文献や書籍によって解釈が異なる場合もございます。
またお使いのモニターや端末によって色が違って見えることもあります!

<参考文献>

鳥名の由来辞典 / 柏書房 / 菅原浩 柿澤亮三
野鳥の名前 / ヤマケイ文庫 /安部直哉
美しい日本の伝統色 / PIE international / 
日本の色辞典/ 紫紅社 /吉岡幸雄

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