今回の野鳥観察記はシギ類目当てに、東京湾最大の干潟に行ってきました。
しかし、まだちょっと時期が早かったかな?
思ったほど旅鳥が集まっていない様子でした。
しかし、やっぱり干潟の観察は楽しい!
千葉県が誇る日本最大級の干潟での野鳥観察レポートです!
目次
小櫃川河口(シギ・チドリの聖地)
当日のコンディション
気温 | 9〜17度 |
湿度 | 67% |
天気 | 曇り時々雨 |
日にち | 4/17 |
貴重な自然を守れ!
小櫃川河口(おびつがわ河口)は、日本最大級の後背湿地です。
もちろん東京湾では最大の干潟で、その広さは東京ドーム約300個ほど。
その広大さもさる事ながら、東京湾で唯一原風景(自然な姿)を残している海岸線です。
これを聞くとすごく悲しい気持ちになりますよね。
逆に、このエリア以外は、自然の風景は残っておらず、人工的な海岸線が広がっています。
しかし、そんな貴重な干潟も常に開発の魔の手は迫っていて
地元の有志たちにより、なんとか食い止められているという状況のようです。
事実、千葉県の開発予定地には常にこのエリアが入っていて反対派とのせめぎ合いが続いています。
反対派は、国際的な湿地条約であるラムサール条約への登録を目指しているようですが
2022年現在、登録は叶っておらず、そればかりか国の鳥獣保護区にも指定されていないという状況です。
実際に足を運んでみると、このエリアのすぐ側には大型ショッピングモールも新設されており
着実に開発の影響が迫っているなと感じました。
この干潟は、ただでさえ野鳥が減っていると言われています。
近くにアクアラインがあり、海ほたるSAなどもあるのですが
この開発以降、ヘドロなどの堆積物も増え、野鳥の飛来数が減っているそうです。
関東エリアの野鳥数はどんどん減っています。
ですので、こういった貴重な自然はぜひ守っていきたいなと感じました。
東京都や全国の野鳥危険度はこちらの記事をお読みください!
野鳥の絶滅危惧をリアルに知ってほしい!
観察した野鳥
メダイチドリ
春の渡りの時期には少し早かった4月ですが、メダイチドリは一足先に飛来していました。
(メダイチドリは早くて3月ごろに飛来します)
コチドリやイカルチドリなどに似た姿ですが、特にこの繁殖期にはオレンジ色の体色が特徴的です。
チドリ類は足指が3本しかなく、じっと立っているという姿勢には向きません。
なぜこういう進化をしたかというと、走って獲物を捕まえる特徴からだと思います。
その為、この日もせっせと干潟を走り回っていました!
さらに、今回観察できて面白かったのは、チドリやシギの集団飛行です。
この行動は、集団で飛ぶことで外敵から身を守っていると考えられています。
飛び立つ瞬間をじっくり観察していたのですが
飛ぶ直前に群れの緊張感が一気に高まる様子が見れました。
会話はしていないのですが、群れの中で危険度の共有ができており
いつ飛び立つのかをしっかり把握しているのがよくわかります。
そして、一斉に飛び立つのですが
飛んでる様子は、右に左に時には上下にと、予想もできない軌道で飛びます。
しかし、集団の輪が乱れる事なく一緒に飛ぶ姿は圧巻です。
これも、先ほどの危険意思の共有ができているから起こる行動です。
この辺りは、すごく興味深いので、また別記事に詳しく書いてみようと思っています!
ハマシギ
ハマシギも夏羽に代わっていて、お腹の辺りが黒くなっていました。
野鳥全般に言える事ですが、繁殖期になると体色が変わってとても見応えがあります。
春〜夏の時期の野鳥観察の楽しみの一つでもありますよね!
このハマシギは、日本では越冬する個体もいます。
イソシギと並んで、お馴染みのシギ類ではないでしょうか?
しかし、ハマシギも準絶滅危惧種に認定されています。
ここ千葉県では絶滅危惧1類、東京都や神奈川県では絶滅危惧2類。
ハマシギのことを考えると、いかにこの干潟が東京湾にとって重要な自然資源なのかわかります。
チュウシャクシギ
この子たちは、一足早く食事を終えたのか?ゆっくりくつろいでいる様子でした。
(一匹だけまだ食べ足りないのか、一生懸命にご飯を探してましたね(笑)
休憩している様子を見ていたのですが、フラミンゴのように一本足で立っていました。
そして、カモ類のように、顔を体に埋めている個体もいましたね!
この顔を体に埋める行動は、主に水辺の野鳥に見られる行動ですが
首の体温を下げないように工夫していると言われています。
脳に酸素の多い温かい血液を常に運ぶように気をつけているのです。
ウズラシギ
ウズラシギは浜千鳥やメダイチドリに混じって一緒にご飯を食べていました。
しかし、潮干狩りしている人を警戒していたのか、ご飯より人が気になる様子でしたね!
ちなみに、この干潟は潮干狩りは禁止されているようです。
その為、周辺には有料の潮干狩り施設が多く設置されています。
昨日は3組ほどの潮干狩り客がこの干潟に来ていました。
マナーは守らないといけませんよね。
ユリカモメ
カモメといえば冬がシーズンですが、夏羽のゆりかもめは本当に可愛いですよね!
まるでエリック・カールの絵本に出てくるような、惚けた顔をしていて好きです!
この可愛いお顔は人気のようで、多くの自治体でイメージ鳥に認定されています。
人間の近くで逞しく生きるカモメ達。
セッカ
今回は干潟のチドリ目が目当てだったので、その他の野鳥はあまり観察していないのですが
干潟のそばに広がる葦原には、鶯やセッカの鳴き声が響いていました。
鳴き声を聞いていると、ウグイス・オオジュリン・セッカ・カワラヒワ・ツグミなんかが多い印象でしたね。
ちょうど冬シーズンが終わり、夏シーズンへ移行している野鳥界。
セッカの姿が確認でき、いよいよ夏が始まるなと感じがしました!
キジ
そして我らのキジちゃんも堂々と健在です!
ケーン!ケーン!と勇ましく鳴いておりました!
シギには負けないぞー!
チュウヒ
チュウヒは午前と午後の一回づつ、葦原の上を飛ぶ様子が見れました。
しかし、写真は撮れなかったです(汗)
チュウヒも絶滅危惧Ⅰ類の特に絶滅の危険性が高い種です。
湿地に住むという珍しい猛禽類ですので、ラムサール条約のような保護活動が重要になってきます。
こんな貴重な野生動物が暮らしているエリアなので、是非とも自然を守ってもらいたい!
チュウヒを見るといつもそう思ってしまいます。
まとめ
今回は東京湾最大の砂質干潟である小櫃川河口に行ってきました!
小型甲殻類やゴカイなども多く生息しており、野鳥の好む環境が整っているなという印象でした。
しかし、まだシギ類の春の渡シーズンには早かったかな。
毎回、野鳥観察期では触れていることですが
野鳥の数の減り方が本当に半端なくて、毎年毎年現象の実感があります。
ですので、このような貴重な環境は守っていきたいです!
これは、もはや人間一人ひとりの意識を上げていかないといけないと思います。
ここ数年で喫煙への意識が大きく変わったように
自然環境を守る意識ももっともっと上げていかないと手遅れになってしまいます。
それには、一人ひとりの行動が意味を持ってきます。
この記事をきっかけに、少しでも自然環境を守る意識が広がれば嬉しいなと思います。
シギは旅鳥、海外からのお客さまです。
ぜひ!そのシギ類に、日本は環境の良い場所だな!って感じてもらいたいですね!
最後に2016年の記事ですが、この干潟を守る運動の様子をレポートしている記事を紹介しておきます。
JAWANの記事
ではまた次回。
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