2025年4月25日に発売になりました『身近な「鳥」の素顔名鑑』
今回の記事は、その新刊の制作秘話や内容を少しご紹介しようと思います。
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素顔名鑑

はじめに
始まりは「本当に身近な鳥だけの図鑑が欲しい」という一言でした。
バードウォッチングを始めたばかりの方は、まず”識別”に苦戦されると思います。
「あの鳥なんだろう?」「図鑑と少し色味が違うけど珍しい鳥かな?」
こういった悩みを抱えている方が多いと知りました。
そして、図鑑だと掲載種が多かったり、珍しい鳥も載っていたりして、逆に悩んでしまう。
そういった問題があることもわかってきました。
そこで、本当に身近に出会える鳥だけが載っている図鑑があればいいのに。
そういう思いが沸々と湧き上がってきました。
そんな時にお話をいただいたのが、この本の制作のスタートです。
掲載種
前作の『ココロさえずる 野鳥ノート』の時は、掲載種は60種とほぼ最初から目安が決まっていました。
しかし、今作の素顔名鑑は、東京都内をベースに考え、通勤・通学・近所の河川敷や街など
日頃の生活圏で見ることのできる鳥を全て網羅したい。
そういった思いで、種数を決めずにピックアップしていくことにしました。
一年中見られる鳥・季節で見られる鳥・一時期だけ立ち寄る鳥・少しだけ足を運んで見られる鳥
そういった鳥たちを、見落としに気をつけながら、丁寧にピックアップしていくという作業です。
そうやって集まったのが89種の掲載種たちです。
もちろん、ページ数の兼ね合いで泣く泣く入りきらなかった鳥たちも数種います。
しかし、よく出会う鳥たちは集合できたと自負しております。

章分け
章分けも難しいなと感じたところです。
図鑑のように分類順で分けてしまうと、難しく感じてしまうかも。
でも、適当に並んでいると、それはそれで乱雑になってしまう。
そこで、身近な鳥・街で見る鳥・公園で見る鳥・猛禽類・水鳥・その他
と、6つにざっくり振り分け、その中でスズメ目→分類順という掲載順にすることにしました。
いちばん身近なスズメ目の鳥たちが最初に来て、その後は図鑑の掲載順に並んでいるというわけです。
図鑑じゃない素顔名鑑
そして、こだわったのは図鑑じゃないこと(笑)
図鑑というのは、すごく勉強になりますし、読んでいて面白いのですが
どうしても、科学の分野の要素が強くて、苦手に思っている方も多くいると思います。
そこで、素顔名鑑では文学や伝承・文化や歴史といった図鑑に掲載されていないようなトピックも多く掲載することにしました。
「鳥」という生き物の魅力を、いろいろな角度から紹介することを目指したのです。

個人的に面白いと思うのは、ニュース報道のトピックも取り入れたことです。
私は日頃から「図鑑や論文の内容と、文学や伝承、そしてニュース報道まで「鳥」という共通点で根っこは繋がっている」と感じています。
大昔は化学も進んでいませんが、直感で鳥を理解していたりして、近年になって化学が伝承を証明したといったようなこともあります。
素顔名鑑の中でいうと、トビのお話はまさにそんな内容です。
先住民族は知っていた伝承が、最近の研究で明らかになったという例です。


野鳥入門書にも旅のお供にも
この本は、1種1種はライトに読み進めることができます。
ですので、これから鳥を知って行きたいという方には、気軽に読み進めていただけると感じています。
そして、図鑑を手にする一歩手前といった使い方から、図鑑を買っても違う視点で鳥を楽しむという使い方。
そんな、図鑑では手の届かない微妙な立ち位置の本になってくれたら嬉しいです。
そして、バードウォッチングで遠征をする方にもおすすめしたいと思います。
サイズも少し小さめの本ですので、バックに忍ばせて空き時間にクスッとしていただければ嬉しいです。
そして、参考文献もたくさん掲載しているので、もし情報に興味を持った方は、より深い野鳥の世界に足を踏み込んでみるのも面白いと思います。
最後に

『身近な「鳥」の素顔名鑑』ぜひ多くの方に手に取っていただければ嬉しいです。
そして、プレゼントとして贈っていただいても愛の伝わる贈り物になるのではないかなと感じます。
より多くの人々で、この「鳥愛」が伝わります事を願って。
mililie