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放火犯はトビ?意外な犯人の目的とは【イラストと画像】

目次

身近なタカ「トビ」

トビはどんな鳥?

トビは最も普通にみられるタカの仲間で、私たちにとってお馴染みの鳥。

茶色くて地味ですが、近くで見るとなかなか精悍な顔をしていてカッコイイ!
全長はオスで59cm メスで69cmほどとタカの仲間でも大きい方です。
よく空を翼を広げて舞っている姿を見かけます。
海岸沿いや、河原などで人が食べているハンバーガや、ランチをかっさらうことでも有名になりましたが、本来は死んだ動物や魚や虫などを食べる他、ネズミなどの小動物を狩ります。

オーストラリアの火の鳥伝説

オーストラリアは乾燥した土地のせいで、森林火災が発生しやすいと言われています。
日本でもそのニュースはしばしば目にすることがありますよね。
その森林火災の原因は、落雷や人為的なものなどが主といわれていますが、地元では、その原因の一部はある鳥ではないか?という噂がありました。

伝説のタカ「ファイヤーホーク」

何千年もの昔から、オーストラリアの先住民族アボリジニの人々の間には、火を使って狩りをし人間に火をもたらしたタカについての伝承がありました。
それは現在も、儀式などで表現されているそうです!
近年、その伝説の鳥「ファイヤーホーク」の存在について、国際的な研究チームによる検証がされました。
森林火災の消火にあたっている消防士などの証言から情報を集めて、検証するもの!

トビは放火犯

国際的な研究チームが地元住民や消防士、アボリジニの人々から話を聞くと…。
森林火災の煙に群がって、火災の中に飛び込むタカたちの姿を多くの人々が目撃していたのです。
そのタカたちは、火災の中に飛び込むと、火の付いた小枝を咥え飛び去ります。
多くの鳥たちは、火を嫌うというのに、果敢に火事の中に飛び込んでいくというのです!!
そしてなんと・・・
乾いた別の土地に火のついた小枝を落下させ、森林火災を起こすのだとか!!!びっくり!

なぜそんなことをするの?

なんてことを!と思いますよね。
タカたちは、人間が作った道路や川、防火帯なども軽々と飛び越えて、乾燥した火のつきやすい場所をみつけ
そこに火種となる火の付いた小枝を落とすのです。

しかも1度ならず、何度もその行動を繰り返すことがあるんだとか。
さらには、それは1羽で行われることもありますが、集団で行う場合もあるとか。
集団でっっ???そんなことを??

なぜそんなことをするの~~~~?

火を使う鳥?

タカたちは乾燥した地に火をつけ、火から逃げ出す小動物たちを狙っているのです。
彼らは火から逃げる小動物を狩ることを覚え、次第に自分で火事を起こすことで獲物をゲットできることに気が付いたってことでしょう。

つまり、火を利用して狩りを行っているということ!
これは人間以外の動物としては非常に珍しい例だと専門家は言っています。

数種のタカの仲間

オーストラリアでこの行動をすることが確認された種は3種。

Falco berigora(チャイロハヤブサ)
Hali0astur sphenurus(フエキトビ)
Milvus migrans(トビ)

しかも、その行動が見られた地域は非常に広範囲にわたり、東海岸、クイーンズランド州、西オーストラリア州まで、さまざまな記録があるようです。

また、彼らは、火で獲物を追い出す狩りをいったいいつから行っているのでしょうか?
詳細は不明ですが、
少なくとも地元の人達の間では、このタカの仲間の行動はよく知られているということ。
また、何より数千年前からのアボリジニの伝承にファイヤーホークが登場することを考えると、かなりの昔からトビたちはそうやって狩りをおこなっていたことは間違いがないようですね。

本当に面白い!!

調査は続く!

これまでオーストラリアの森林火災の原因は、人間と雷だけが媒介物と考えられてきました。
しかし、伝説や伝承の中だけだと思われていた「ファイヤーバード」の存在が現実だと考えられるようになった今となっては、そうとも言っていられなくなりました!

研究チームの鳥類学者ゴスフォード氏によると、研究の次の段階では、アボリジニの土地の管理者の協力を得て人為的に火を放ち、鳥たちが行うその行動を動画やデータに収めようと考えているとのこと。
つまり研究は継続中!

また、私がオーストラリアの現地ネイチャーガイドさんに伺った話によると
この論文では示されていないトビの行動も現地では観察されており、意図的に放火していると結論づけるにはもう少し証拠を示す必要があるのでは?とおっしゃっていました。

これからどんどんいろいろなことが解明されていくのかも?

今後の研究の報告が楽しみです!!

(参考文献)
Intentional Fire-Spreading by “Firehawk” Raptors in Northern Australia
Mark Bonta, Robert Gosford, Dick Eussen, Nathan Ferguson, Erana Loveless, Maxwell Witwer

AUSTRALIAN ‘FIREHAWKS’ USE FIRE TO CATCH PREY Australian ‘firehawks’ use fire to catch prey – The Wildlife Society




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