今回の記事は、バードウォッチング界に新たな視点をと思い。
鳥類はいない!と大胆なテーマで書いていきたいなと思います。
野鳥観察が大好きな方必見の記事になっていると思います。
また、恐竜が大好きという方!ぜひ最後まで読んでいただきたいです。
恐竜好きと、野鳥好きを結ぶ一片の記事になれば幸いです。
最後まで読んでいただければ、野鳥の見方もきっと変わるはずです!
目次
鳥類はいない!
生物分類学という分野は、とても複雑です。
生物がどんな種類に分類できるのか?どんな進化を辿っているのか?
そういった事柄をきちんと整理して考える学問を生物分類学と呼びます。
現存する生物全てを分類するとなると、膨大な情報を処理する必要があります。
更に、絶滅した種までとなるともはや全てを把握するのは不可能です。
ですので、生物学者を筆頭に鳥類学や海洋学・古生物学など
様々な専門分野が存在し、それぞれの研究結果を照らし合わせながら
複雑に絡み合ったパズルを解いていくという方法になってしまいます。
驚くことに、19世紀までは、世界統一の分類法というのは存在せず(統一できなかった)
1902年に国際動物学会で統一規約が制定されるまで、国別に別々の生物分類法が存在していました。
1902年って本当に最近ですよね?
それだけ、生物分類学というのは複雑に絡み合っているということです。
生物分類学の実情
もう少し、この分野がいかに大変かを見ていきたいと思います。
2005年のネイチャー誌の記事からの引用です。
多くの種について、あちこちの出版物に不完全な説明が掲載され
G・H・ゴドフリー(イギリス生物学者)
新たな分類群を既存の種や分類法に関連付けようとする試みは成されずじまいに終わる。
これはどういうことかと言うと
世界統一規約が制定されたにも関わらず、いまだに全てが体系化できていないということです。
2001年には、ワイヤード誌の共同創刊者のケヴィン・ケリーがこの問題に終止符を打つべく立ち上がります。
全ての有機生命体をベータベース化し世界中の研究者が体系的に理解できる基盤を作るという試みです。
(簡単にいうと、情報全部パソコンに入れよう!ってこと)
しかし、このプロジェクトも頓挫してしまいます。
その原因は、資金不足と人員不足と情報量の膨大さです。
【不可能な分類】
当初、このプロジェクトの活動資金は500億ドルほどと見込まれていました。
日本円で5兆円以上です。
しかし、2002年初めの時点で、財団の資金は120万ドルにまで減ってしまいました。
圧倒的に予算が足りなかったのです。
また、昆虫だけでも1億種以上の未確認種が存在し
発見後分類を行ったとしても、今のペースでは1500年以上かかると概算が出ました。
動物界の他の種については、昆虫以上に時間がかかるという概算です。
このように、生物分類学の分野は、スッキリ整理できているとは言えない状況です。
その為、多くの場面で間違った用語や間違った分類法が横行しているのが実情なのです。
それに、どんどん新発見もあり情報が増えているのですから
生物分類学という分野が、いかに大変な分野かわかります。
人間は無知
現在、世界中の情報がインターネットを通して簡単に素早く入ってきます。
また、航空技術の発展で、世界の物流も人の移動も簡単です。
その為、多くの人が世界(地球)をそれほど広くないと考えがちです。
しかし、生物研究者目線で考えると、世界はとても広大です。
今では、コンゴ民主共和国に3万頭以上も生息していることが分かっている
オカピは、20世紀に入るまでその存在自体知られていませんでした。
同様に、体長4m〜6mの巨大ザメであるメガマウスは1976年まで発見されていません。
分類学の複雑さ、世界の広大さ、生物学の未熟さなどから
現時点で、人間の知りうる情報というのがいかに氷山の一角か分かると思います。
◯◯類という間違い
現在、生物を分類する場合。
- 門
- 亜門
- 綱
- 亜綱
- 目
- 亜目
- 科
- 亜科
- 属
- 亜属
と10の階層に分けて分類するのが一般的です。(この分類も色々見解はあるのですが)
更に細かく分類すると、界やドメインという考え方もあったりもします。
お気づきでしょうか?◯◯類と呼ばれる項目がないのです。
この【類】という呼び名は、実は明確なルールはなく、どの階層で使っても良いという便利な呼び名です。
例えば、人間は脊椎動物門・哺乳綱・サル目・ヒト科・ヒト属と分類できます。
人類と一般的に呼ばれますが、【ヒト科】や【ヒト属】を【人類】と置き換えて呼んでいるのです。
また、哺乳類という場合は、【哺乳綱】を【哺乳類】と置き換えて呼んでいることになります。
この便利な呼び方である【類】が多くの混乱や間違った印象を与えることになるのです。
しかし、便利な言葉だからこそ、一般的に広く使われていると言えますね。
鳥類は爬虫類
鳥は、スウェーデンの偉大な生物学者カール・フォン・リンネによって鳥綱(鳥類)と分類されました。
しかし、遺伝子研究などの結果から、現在では爬虫綱の鳥亜綱と分かっています。
つまり、鳥は爬虫類の中に含まれるということです。
意外なことに、皆さんが爬虫類と認識しているカメですが、ヘビやワニより鳥に近いということも分かっています。
見た目は、羽毛も生えてなく蛇なんかと近い気がしますけどね!
飛ぶという大きな特徴を持っている鳥類ですが
見た目や行動パターンの違いほど、DNA上は違っていなかったということです。
(リンネは、飛ぶ生き物だから鳥網(鳥類)と分類したんですね)
また、骨格の研究でも、鳥類と爬虫類の近親性や進化の過程が分かっています。
この事からも、【鳥類】という呼び名がいかに誤解を招くかが分かると思います。
鳥類は爬虫類!
この事を実感するだけでも、野鳥の見え方が変わってきますよね!
では、次は恐竜の話をしてみたいと思います!
恐竜
恐竜は、地質時代の三畳紀・ジュラ紀・白亜紀を生きた巨大な爬虫類です。
現在では絶滅したと考えられており、化石として博物館などで見ることができます。
恐竜と一言で言っても、種類は多様です。
大きく分けると鳥盤類と竜盤類に分類され竜盤類は更に竜脚類と獣脚類に分類されます。
一般的によく知られている恐竜に当てはめると
鳥盤類はトリケラトプスやステゴサウルス
竜盤類の竜脚類はディプロドクスやブラキオサウルス
竜盤類の獣脚類はティラノサウルスやヴェロキラプトル
この様に、多種多様に分類できるのです。
恐竜の絶滅
およそ6600万年前の白亜紀に、巨大な隕石が現在のメキシコに直撃しました。
この隕石の衝突が、恐竜絶滅の原因になっていると考えられています。
この隕石の衝突は、地球上の75%以上の生物を死滅させました。
と言っても、隕石の衝突で直接死んだのはごく僅かで
その後起こった気象変動などにより、地球上が生物の住みにくい環境になったからです。
この気象変動の最も深刻な問題は、長時間太陽光を遮断した厚い雲だと言われています。
隕石衝突によって巻き上げられた粉塵が、大気中に留まり、厚い雲として地球を覆ったのです。
光を奪われた地球上の生物は、植物からそれを食べる動物まで甚大な被害を受けました。
食物連鎖が断たれてしまったのです。
また、太陽光が届かないということは、気温が下がるということです。
この為、極寒の死の地球が誕生しました。
しかし、一部の動植物の中に、この厳しい状況を生き抜いたものがいます。
それが、現在地球上に生きる全ての動植物の先祖たちです。
【小さな体】
この時、不思議なことに小さな体の生物は助かりました。
動物も植物も、大きな体の生物は全て死に絶えてしまいました。
しかし、小さな体の生物は、この過酷な環境を生き延びたのです。
それまで、動物(恐竜や昆虫)も植物も体を大きくすることで強く生き抜いてきました。
大きいものほど繁栄する。そういう時代が長く続いたのです。
しかし、隕石の衝突で生き残ったのは小さな体の生物たちです。
氷河期をマンモスが生き抜けなかったように、隕石のもたらした地球規模の寒冷は
大きな体を維持するだけのエネルギーを生み出せないということでしょうか?
竜盤類という間違い
さて、恐竜の話に戻りますが
恐竜は、鳥盤類と竜盤類と2種類に分類できるとお話ししました。
これは、鳥類に似た骨盤を持つ恐竜を鳥盤類、トカゲに似た骨盤を持つ恐竜を竜盤類
このように分類した呼び名です。
この事から長い間、鳥類は鳥盤類の恐竜が進化したのでは?と考えられてきました。
しかし、トリケラトプスやステゴサウルス(?)
全く鳥に似ていない!
この事が、長らく恐竜の進化を考える上で弊害だったのではないか?と私は思っています。
逆に、始祖鳥などの獣脚類の方が鳥に似てるよね?という疑問もありました。
しかし、近年ではこの分類を見直そうという考えが広がってきました。
特に、2017年にネイチャー誌に掲載されたイギリスの研究チームの論文では
竜盤類の二種のうち、獣脚類がむしろ鳥盤類に近縁なものであるとして、獣脚類と鳥盤類を合わせて新たに【Ornithoscelidaオルニソスケリダ】というグループにまとめ
これまで位置づけの定まっていなかったヘレラサウルス類を竜盤類に加える。
との新しい恐竜の分類法を発表したのです。
このことで、獣脚類に分類される始祖鳥などの恐竜を、鳥類の先祖と堂々と呼ぶ事ができるのです。
スズメになったティラノサウルス
近年、ティラノサウルスが雀になったという話をよく耳にする様になりました。
それは、ティラノサウルスが獣脚類の代表的存在で、スズメが鳥類最大派閥の一つスズメ目の長(おさ)だからだと思います。
また、近年の研究では(もう近年でもないかな?)ティラノサウルスには羽毛が生えていた。
そういった考え方が一般的になっているのも、後押ししているかもしれません。
※厳密に言えば、白亜紀最後まで生きていたティラノサウルスは、隕石の衝突により絶滅しています。
ですので、ティラノサウルスが雀に進化したというのは、ちょっと無理があると思われます。
恐竜の研究はまだまだ分かっていないことが多いですし、仮説の域を出ていないものも多くあります。
しかし、獣脚類が現在の鳥類に進化したという説は、かなり有力だと思われます。
恐竜観察に出かけよう!
今回の記事は、生物分類学・古生物学という2種類の分野から書いてみました。
両分野とも、まだまだハッキリしていない事も多く、現在進行形で進化している学問です。
ですので、この記事を書いている今まさに、常識の覆る新しい発見が起こっているかもしれません。
それにもしかしたら、生物学と古生物学を分けて考えていることが無理があるのかもしれません。
絶滅した種は、生き残った種とも密接に関わっており、同一線上に存在する存在だからです。
【恐竜】と【鳥類】は、時代の違いで別々の名前が与えられていますが
もっともっと研究が進んでいくと、同じ種類の生き物として認知されるかもしれません。
そもそも、恐竜と言っても多種多様!爬虫類と言っても多種多様!
分かり易くする為に付けたその名前が、より本質を見え難くしているのかもしれません。
野鳥観察の大好きな皆さん!
これからは、恐竜観察と思うと気分が違ってきますよ!
また、恐竜の大好きな皆さん!
近くの公園に恐竜観察に出かけてみませんか?
身近な小鳥も、今日からまた違った見え方がするかも!
ではまた次回。
最後に、面白い記事があったのでリンクを貼っておきます!
東北大学大学院生命科学研究科器官形成分野教授の田村宏治さんのインタビューです。
ネイチャーダイジェストの記事。
【関連記事】
バードウォッチングの始め方!楽しみ方編