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ミコアイサはまるでパンダ!
白黒模様のミコアイサ別名は「パンダ鴨」
ミコアイサを初めて見たのは冬の某湖。
寒さの中で湖に浮かぶ鴨たちを観察していると・・・「ん??」「ん????」
「なんかすごいやついる!!!あれ・・・パンダじゃん!!」
双眼鏡にうつしだされたのは、白黒模様のあの子でした。
まるで癒し系の代表アニマル、パンダじゃないか~~~。
しかし、癒し系にもかかわらず、頭頂部の冠羽はふさふさと立ち上がりツーブロックで決めたイケメンヘア。
とにかく、キャラが強すぎる・・・。
つまり、インパクトの強い奴で、第一印象は衝撃は今もなお覚えています。
テンションあがりますよ、あの見た目には!まさにビジュアル系!
体長は40cm前後、体重は1kgにも満たないそうでとても身が軽い鳥。
魔法のように水面からふわりと飛び去る姿はとても美しいですよ。
神秘的な響きの名前の由来
さて、その鳥が「ミコアイサ」という名前であることを図鑑で知った私が最初に思ったこと。
「変わった名前だな」
鳥の名前というのは結構短絡的なものが多いです。
例えば、「尾が長いからオナガ」とか「頬が白いからホウジロ」とか「ひ~~よ!と鳴くからヒヨドリ」とかね。
なのに「ミコアイサ」なんて、その名前どっから来たの~~~~~~~?
というわけで調べてみました。
ミコアイサは、漢字で書くと巫女秋沙。
ミコ=巫女
だったのね!!
巫女さんが着る白装束を着ているようだから巫女都の名前がついたそうです。
では秋沙(あいさ)は??
秋沙はカモ科アイサ属の総称で、〇〇アイサという種類の鳥はほかにもいます。
ちなみに、アイサ=秋去る という意味であるとか。
つまり、秋が去って本格的に寒い冬がやってきたころに訪れる鴨ということでしょうか。
メスはパンダじゃない
ミコアイサの女の子(メス)は、雄とは違い白黒のパンダ模様ではありません。
頭部がこげ茶色でパンダはパンダでもレッサーパンダ寄りの色めです。
つまり、オスとは全く違う色なんです。
まあ・・・これは皆さまご存じの通り野鳥あるある。
中には、ほとんど色柄に差がなくオスメスの区別がつかないような鳥もいますが、たいていの場合はオスが派手め。
「わ~~~きれい~~~」と目を引く見た目なのはだいたいオスです。
これらは、メスに「わ~~~きれい~~~」と思わせて気を引くための進化です。
ミコアイサも例にもれず、男の子のほうがぱっと目をひく仕様です。
とはいえ、ミコアイサのメスも頭頂部はしっかりオス同様に、パンキッシュなヘアスタイルに仕上がっております。
なので、同じ鴨の「婦人会」の中でもかなり個性派キャラ。
男女ともに目立つので、他の鴨といっしょくたにいたとしても、探しやすい鳥です。
観察のポイント
ミコアイサは怖がりさん
さて、先ほど「キャラがたってるので見つけやすい鳥」と言いました。
しかし、見つけやすいのと観察しやすい、撮影しやすいはまた別の話。
実はミコさん、観察しにくい鳥です。
なぜならば、、、、ものすごく警戒心がつよい!!
遠くのパンダ・・・
彼らを見つけて、「わ~~~パンダだ」と湖岸に近づこうとすると・・・
その微妙な空気感を敏感にかんじとってかさささ~~っと沖のほうへ行っておしまいになります。
嗚呼・・・ミコさまパンダさま・・・そんなに嫌わないで頂戴。
ちょっと双眼鏡で覗くだけじゃない~~~。。。
実際、普段からミコアイサは湖岸から遠い場所に陣取っている場合が多い気がしますよ。
もし近くにミコアイサがいるのを発見したら、そ~~~っとそ~~~っと気配を消して観察してみてくださいね。
ミコアイサ、突然消える問題
さて、警戒心が強め系鴨、ミコちゃん。
そんなミコちゃんのもうひとつの観察しにくい点が・・・
【観察中のミコちゃんを突然見失いがち】
観察していて、ふと瞬きした瞬間・・・ほんとに一瞬なんですよ
「あれ???消えた????どこいった???」ってなることが多いのです。
例えば、ミコちゃんを発見して、一緒にいる友達に
「ね、あそこの水門のところミコちゃんいるよ」と教えます。
「どれどれ~~」と友達が双眼鏡をのぞくと・・・
「え・・・どこにもいないよ・・・」というような事態がよく起こるんですよ。
そして、「どこいった~~~?」と再び双眼鏡覗いて探すと、さっきと違う場所ですました顔で泳いでる。
ワープした????ワープしたよね??
ミコアイサは、潜水して餌をとる鴨。
あなたは、鴨が、水面からお尻だけ出して餌を食べているほほえましい場面を見たことがありますか?
鴨って、ああいう風に餌をとるものばかりではないのです。
潜水型鴨、ミコちゃん!
彼らは、完全に潜水して餌を得ます。
お尻すらも見えなくなっちゃうタイプの奴。
しかも・・・潜水したまま水面下で進む(動く)ので・・・元居た場所からは全然違う場所から顔を出す!
長い時で30秒は潜って出てこないというから、結構長いですよね。
しかもグループで行動しているミコちゃんたち。
潜るとなったら一斉に潜るんだもの・・・そりゃ「消えた!!!」って思うわけよ。
そして違う場所に、集団で現れるという・・・。
これを私たちは「ミコワープ」と呼んでいます。(あくまで私たちだけです。そう呼んでいるのは。笑)
ミコアイサの特徴
何を食べているの?
さて、完全潜水型パンダ鴨は一体何を食べているか?
彼らは、肉食寄りの雑食タイプ。
潜ってとるのは、魚やエビやカニなどの甲殻類、貝類など。
雑食ということなので草の種や草なども食べているようですよ。
歯がある!
さて、魚やエビやカニ、貝類まで食べるミコさん。
彼らのくちばしをよく見ると、先っちょが鉤状に曲がっていて、そういう獲物を捕食するのには使い勝手がよさそうですね。
そして、そのクチバシにはなんと「歯があります」。
正確には、それは歯ではなくクチバシが変形したもの。
クチバシのヘリに「のこぎりの歯」のようなギザギザがついています。
これでがっしりと獲物を挟んで逃がさないというわけ。
なるほど、なるほど・・・つるつる滑るような貝類も、これならしっかりつかめそうだ!
ミコアイサはオシドリ夫婦か?
彼らは、一夫一婦制。
しかし、それは繁殖期までです。
卵が産まれて、それを育てる時期になると夫婦関係はあっさり解消されるとのこと。
オスは、メスに「あとはまかせた」と言うか言わぬかわかりませんが、世話をせずに去っていくんですって。
繁殖期でペアを作る前は、踊ったり歌ったりで必死でメスに気をひくくせに・・・ほんとさっぱりしたもんですね。
観察のシーズン
ミコアイサは渡り鳥。
日本には冬鳥としてやってきます。
「秋の去るころ」にやってきて、夏を待たずに飛び去って行く鳥。
というわけで、観察できるのは地域にもよりますが、だいたい11月~4月くらい。
淡水の湖や川などに集団でいることがありますので、冬場にそんな場所に行ったときは
「パンダはいないかな~~~??」と探してみてください。
しかし、臆病な性格なのでそっとそっと観察してくださいね。
というわけで今日は、パンダみたいな鴨!ミコアイサについてでした。
ではまた次回!