野鳥観察をしていると【足環】をつけている個体を見かけることがあります。
『研究者が個体数把握のためにつけたんだな』と何となく考えることってありますよね?
しかし、あなたのその発見がとっても役に立つとしたらどう思いますか?
野鳥の保護のため、自然を理解するためにとっても重要な発見だとしたら!
そうです!あなたが見つけたその足環は、貴重な情報源なのです!
ただ野鳥を見つけるだけじゃなく、ぜひ足環に注目してみてください。
そして、もし見つけたら是非研究所に報告してみてください!
あなたの趣味であるバードウォッチングが、野鳥の保護にとっても役に立つのです。
目次
鳥類標識調査
鳥類標識調査とは、野鳥の生態や個体数を把握するために行われている調査方法です。
野鳥の足に、個体を識別できる記号や番号の書かれた足環を取り付けます。
そして放鳥し、その後情報を収集し解析することで、渡りの実態やさまざまな生態を解明することができます。
その地道な調査の結果、鳥類の保全活動や、国際的な環境保護活動の推進に役立てられています。
この調査方法は、世界中で行われており、各研究機関が情報共有することで野鳥の生態解明がなされているのです。
しかし、膨大な数の野鳥のデータを収集するのは大変なことです。
研究者だけでなく、ボランティアなどを募集し、少しでも多くの情報を集めています。
この足環をつけることが出来るのは、きちんとした資格を持っている鳥類標識調査員(バンダー)と呼ばれる人たちです。
しかし、全国に450名ほどいるボランティアバンダー達だけでは、足環の回収作業は手に負えません。
そこで、一般の方々にも広く情報提供を呼びかけているのです。
山階鳥類研究所
日本では、環境省の委託により山階鳥類研究所というところで調査が行われています。
1932年に山階芳麿さんが自身の自宅に自費で建てた鳥類標本館がその前進で
1942年に財団法人山階鳥類研究所として誕生しました。
現在は千葉県我孫子市にあり、鳥類標識調査をはじめ様々な鳥類研究や鳥類学普及の活動を行なっている機関です。
鳥類の渡りの研究、個体数の把握やモニタリングなどを中心に情報誌や書籍の発行なども行っています。
研究の他にも、野鳥観察階など様々なイベントを企画し、一般の方も参加できる行事を行なっていますので
一度参加してみるのも面白いと思います!
知らなかった情報を知れますし、研究者になった気分で野鳥観察するのもいいですよね!
足環を見つけたら
1、写真を撮ろう!
ただ、足環のついている野鳥を見つけても、捕獲をすることはできません。
捕獲という行為は、キチンと資格を持った人しかできない決まりになっています。
しかし、このように写真を撮ることで確認することができます。
ですので、足環のついている野鳥を見かけたら、是非足を中心に撮影してみてください。
ここまでの望遠カメラ持ってない!という方もご安心ください!
キチンと足の部分にピントさえ合っていたら、後で拡大すれば文字を識別できるはずです。
2、山階鳥類研究所に報告しよう!
情報提供はメールや郵送などで行うことができます。
- 観察者指名(あなたの名前)
- 連絡先(電話番号やメールアドレスなど)
- 足環の番号や記号や文字情報
- 発見した年月日
- 回収場所(できるだけ詳しく)
- 種名(わからない場合は写真を見て先方が判断してくれます)
- 野鳥の性別(オスかメスか不明か)
- 野鳥の年齢(成鳥か幼鳥か不明か)
- 観察した時の状況説明(生きていたか死んでいたか、何をしていたかなど)
もう少し詳しく報告することもできますが、上記の情報があれば大丈夫なようです。
山階鳥類研究所 鳥類標識センター
山階鳥類研究所お問い合わせ先
〒270-1145
千葉県我孫子市高野山115
電話番号 04-7182-1107
FAX 04-7182-4342
E-mail bmrc@yamashina.or.jp
ちなみに、もし写真がない場合でも確実に上記の情報が分かるのなら報告できるようですが
本当に確実な情報のみが必要なので、むやみやたらに報告するとかえって迷惑がかかる場合があります。
キチンと足環を確認し、事実の報告だけをするようにしましょう!
自分でも調べてみよう!
この足環は様々な識別番号や記号があるのですが、その意味を知っていると
この個体がどこから来たのかがわかります。
『こいつはモンゴルから来たのかー!』とか分かると観察も楽しくなりますよね!
シギ・チドリ類の足環の識別表が山階鳥類研究所で公表されています。
この表を見てみると、上記のダイゼンは日本の東京湾付近で足環をつけられたようですね!
野鳥の未来のために
近年の研究の成果により、鳥類の渡りのシステムの解明は大きく進みました。
そのことにより、国際間の保護活動の重要性も分かってきたと思います。
以前記事にしたラムサール条約などの国際条約も、こういった研究の結果が大きく関連していると思います。
世界中の国々の研究機関が手を取り情報を共有し、野鳥の保護に努めているのです。
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しかし、この広大な地球の中で、小さな小さな野鳥を見つけるのはとても大変です。
ですので、私たち一人ひとりの情報も貴重な資料になるのです。
日頃、げなく観察している野鳥の足。
どうしても可愛いお顔ばかりに目が行きがちですが、足にも注目!
その発見が、未来の野鳥界を救う貴重な情報源になるかも知れません!
最後に、環境省のホームページと山階鳥類研究所のHPを貼っておきます。
下記リンクより鳥類標識調査のことや報告の方法を見てみてくださいね!
ではまた次回。
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