目次
バン
近所の公園の湖や、河岸などでよく見かける見かけるバン。
お馴染みの野鳥ですが(お馴染みすぎて?)その生態などはあまり知られていません。
今回の記事は、そんなバンについて深掘りしてみようと思います!
バンの特徴
どんな見た目?
まず目を引くのは額板から嘴にかけてのビビッドな赤色!!
ちなみに、似たような種でオオバンという大型のバンもいます。
このオオバンは真っ白な嘴を持っています。
しかし、バンは真っ赤ですごく目立ちます。
そして、赤い嘴の先は黄色というのがまたポイント!
赤と黄色のコントラストは、自然界では珍しい配色なので、よ~~く目につきます。
また、頭からお腹にかけて少し青みのかかった黒色をしています。
体上面は茶色っぽい色をしていて、嘴以外は少し地味め。
日頃、水の中を歩いていることが多いので、なかなか目にする機会は少ないですが
バンの脚は鮮やかな黄緑色をしていて、とても太くがっしりしています。
体のわりにぶっとくがっしりした脚なので、最初に見たときは結構驚くギャップです。
「わたし、見えないところがすごいんです」ってやつですよね。
ちなみに、雌雄同色でオスメスの区別は難しいです。
バンの鳴き声
バンは意外と鳴き声のバリエーションが豊かです。
キュッキュッキュッ、クルルー、キャッキャキュー、キャー、ポッ!
比較的高めのキーで短く鳴くのが特徴です。
結構キュートな声ですよ。
あまり頻繁に鳴いている所を見かける種ではありません。
だから、鳴いている所を観られたらラッキーかも!
バンの足掻き
野鳥は、1日の大半を食事と毛繕い(羽繕い)に費やしています。
飛んだり体を守ったり保温したりととても大切な羽ですが、実はお手入れがすごく大変。
とても複雑な構造をしているので、少しでもお手入れを怠ると使えなくなってしまったり虫がついてしまったりしてしまうのです。
そこで、野鳥たちは多くの時間をグルーミングに費やすことになるんですね。
その行動の中でも、私が大好きなのが【足掻き】です。
嘴の届かない頭部を、足を使ってカキカキお手入れするのです。
多くの鳥がやる行動ですが、この行動をよく観察していると、種によって若干足の持って行き方が違うのがわかります。
多くの野鳥は、羽の内側から足を上げて足掻きしますが、一部の野鳥は羽の外側から足を上げます。
私はこの外側派が大好きです(笑)
アウトサイドカキカキ!!
バンもアウトサイドカキカキ派!
ちょっとキュートで間抜けな外側派の足掻きを是非観察してみてください!
バンの生態
どんなとこに住んでるの?
バンは水辺に適した種です。
湖沼、水田、河川、干潟と水辺だったらどこでも生息しています。
そんな拘りのなさそうに見えるバンですが、実はすごく拘りがあります。
それは、隠れる場所(シェルター)があること!
臆病なんですね。
バンはいつでも避難できる環境をすごく好みます。
同じ水辺の野鳥でも、オオバンやカモ類は比較的開けた環境にいますよね。
しかし、バンは避難所を中心に行動しています。
何かあったらすぐに隠れ家に逃げ込めるというのが、バンにとっては大事なポイントなんですね。
だから、ハスの葉や葦原など、身を隠す場所の近くで行動していますよ。
面白い社会形態
バンについて語る時、最も面白いのは、その「あまりにも拘りのないの社会形態」です。
拘りがないというと、ちょっと語弊があるかもしれませんが、すごく柔軟に、臨機応変に社会を形成していると言えます。
多くの種が、一夫一妻なのか一夫多妻なのか?つがい行動なのか?グループ行動なのか?
大抵は、社会形態はその種によって決まっているもの。
しかし、バンはその個体が置かれている状況に応じて臨機応変に社会形態を変えることが知られています。
こだわりがないと言えばそれまでですが、生活環境に応じて最も効率の良い関係を選択しているのだと思います。
繁殖期
基本的には一夫一妻で繁殖を行いますが、場合によって一夫多妻や多夫一妻など臨機応変です。
しかも、家族間でこの臨機応変な関係を築くものもいます。
つまり、親子や兄弟で夫婦関係を作るということです。
ちょっと人間では考えられないことですよね!
夫婦関係はめちゃくちゃ合理的に考えていることがわかります。
そして、子育ても凄く柔軟で、夫婦で子育てするもの、家族で子育てするものと様々です。
特に面白いのが、生まれて間もない幼鳥が、新しく生まれたヒナの育児を手伝うことです。
バンの子供
雛は、なかなかのインパクトのあるビジュアルで・・・初めて見たときは「宇宙人出た!!」と思ったほどですが・・・
しかし、親と同じカラーリングでいかにもバンのヒナという黒い色をしています。
嘴は赤と黄色なのも親と同じ。
頭頂部が禿げているところを除けば、ほとんど親と同じです。
しかし、少し成長してくると、全く見た目が変わってしまいます。
嘴は薄褐色になり、体上部も薄い褐色、喉からお腹にかけては白色です。
全く親鳥とは違う見た目になるのです。
ですので、幼鳥が雛を連れて歩いている姿を見ると、まさかバンだと気づかない人もいると思います。
しかし、幼鳥ながら弟や妹の世話を一生懸命していると思うと凄く可愛く思えてきますね!
托卵
卵の産み方にも臨機応変なバンの特徴が表れています。
托卵(種間托卵)を行うことで有名なのはカッコウの仲間達ですが、実はバンもヨシゴイなどの巣に托卵をします。
しかし、托卵せずに自分達で育てるものもいます。
また、種内托卵といって、バンの巣にバンが托卵するという行動も観察されています。
自分でも育てるし、他人にも育ててもらうし、仲間にも育ててもらう。
どういった基準で選んでいるのかはわかりませんが、ここでも一番ベストな選択をしているのかなと思います。
しかし時には無計画な一面も。。。
バンは基本的に5〜7個ほどの卵を産みます。
しかし、種内托卵の結果、20個以上の卵を育てているバンも確認されています。
20個はやりすぎ!!
抱卵するのも大変です!!
しかし、よっぽどいい環境に巣をかけていたのでしょうか?(笑)
縄張り
バンもまた、縄張りをもって繁殖を行う野鳥です。
縄張りに他の個体が侵入すると、尾羽の白い部分を見せつけて威嚇します。
とにかく、この尾羽の白い部分が彼らの武器で、時には空気を入れて膨らませたりして見せつけます。
お尻の白い羽根を膨らませて、相手を威嚇する・・・ちょっと人間から見たら可愛くも見えますね。
しかし、縄張りに拘りのない個体もいます。
一般的に、オス1匹に対し一つの縄張りがあり、その縄張りを守ることで採餌や繁殖の優位性を担保します。
しかし、バンの場合、縄張り一緒でもいいよね!という緩い関係が存在しています。
バン!なんかすごいよ君!
まとめ
身近な野鳥でもあるバンですが、とっても独特な生活様式を持った野鳥です。
バンは留鳥で、基本的には年中通して同じ場所で暮らしていますので、近所のバンを観察してみると面白いと思います。
幅広い環境に適応しているバンだからこそ、幅広く自由すぎる社会形態を臨機応変に使い分けているのかもしれません。
水田に住むバン、湖に住むバン、河川に住むバン、住み環境が違えば、その生活様式も違うのがバンです。
うちの近くのバンはどんな生活様式をもっているんだろう?
そんな目線で、バンを一年を通して観察してみるのも面白いかもしれませんね!
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【今回使用した機材・画材】
ステッドラー水彩ペン
ホルベイン色鉛筆
NIKON D500
Nikkor AF-S 200-500mm f/5.6E ED VR