目次
コチドリ
小さなチドリがちょこちょこ水際を歩いているよ!
小走りで、あっちにちょこちょこ こっちにちょこちょこ!
コチドリさんの様子を詳しく観察してみましょう。
生態と特徴
くっきりアイリングの可愛い子
コチドリは、日本で一番小さな千鳥です。
サイズは、全長16cm スズメより少しだけ大きめでしょうか?
コチドリの一番の特徴はやはりそのアイリング。
黄色でくっきりとしているので、大きなお目目がさらに大きくはっきりとして見えますよ。
体色は、赤味がかったブラウン、お腹側は白です。
お顔周りは白黒の模様で、首の周りをぐるりとかこむように黒が入ります。
ちなみに、この首の周りの黒いラインが太いほうがオスです。
日本では夏鳥
チドリ目(シギ類やチドリ類)は主に旅鳥として日本にやってきます。
その多くは、オーストラリアや東南アジアなどの温かい場所と、中国北部やロシアなどの寒い場所を行き来していて
日本には、旅の途中の中継地として立ち寄ります。
しかし、少数ですが、日本で越冬するもの、繁殖するもの、そして留まるものもいます。
コチドリは、日本では夏鳥です。
早くは3月頃にやってきて、だいたい9月頃まで滞在します。
西日本以南では、留鳥として冬を越すものもいるようですが・・・基本的には夏鳥ですね。
どこにいる?
コチドリは他の多くのシギチドリ類と同じく水辺を好みます。
しかし、他のチドリたちよりも生息範囲は広く、河川や海岸・干潟をはじめ湖沼付近、田畑などでも姿を見る事がありますよ。
ですので、なんだか小っちゃいのがいるな!と思ってよく見るとコチドリってこともよくあります。
何を食べてる?
彼らは、小さな昆虫や水棲生物、干潟のバイオフィルム(微生物)などを食べていますよ。
ちょこまかと走り回りながら、地面をつっつく姿は本当に愛らしい!のひとことです。
チドリ類全般に言えることなのですが、コチドリは視覚を頼りに餌を探していると言われています。
ですので、シギ類に比べて大きなお目々が特徴的なんですね。
逆に、シギ類は嘴の感覚を多用することが分かっています。
つまり、嘴の触覚を頼りに、砂の中など見えない場所を探って餌を見つけています。
ですので、多くのシギ類は嘴が長く、餌を探りやすいようにさまざまな形状をしているのです。
チドリ類は、嘴はそんなに長くない代わりに、太く力強い形状をしています。
目の大きさや嘴の形など、食べる餌や捕食の方法なんかと関連があると思うと面白いですよね!
コチドリの鳴き声
コチドリの鳴き声はあまり大きくありません。
ピゥピゥと甲高くか細い声で地鳴きをします。
繁殖期になると「ぴゅ~~!ぴゅ~~~!ぴっぴっぴっ」と囀ります。
とっても可愛らしい声なので、そっと耳を傾けてみてくださいね。
コチドリの子育て
彼らは3月頃に渡ってきて、4月の半ばくらいには営巣し産卵をします。
ちなみに一夫一婦制です。
営巣の場所は、河川敷や海岸や干潟沿いの砂礫の多い地面です。
小さな石を丁寧に卵の周囲に並べますよ。
また、生む卵も石と色がそっくり!
つまり、しっかりと保護色のため、外敵に見つかりにくいデザインなんですね。
親鳥だって命がけ!擬傷(ぎしょう)行動
コチドリは擬傷行動をすることでも有名。
擬傷行動とは・・・外敵が巣やヒナに近づいた際に、自らが傷ついたフリをして敵の前に現れ・・・敵に己を標的にさせ、巣やヒナから引き離すという行動。
まず、親鳥は外敵が近づくと、警戒の鳴き声を上げます。
「敵発見!敵発見!子供たちは身をひそめよ!声を出すな!」という具合か。
その鳴き声を聞くとヒナはじっと身をひそめるのです。
そして親鳥は、敵の前に「あたし傷ついて動けないのよ・・・弱っちゃってるのよ・・・」と迫真の演技でアピールをしながら躍り出ます。
さらに、敵につかまらないように距離をとりながら、徐々に巣やヒナから敵を離していくというわけ。
いや、、、子供のためとはいえ、「傷ついたふり」とはいえ、敵の前に身をさらすのはとっても危険なこと。
なんてすばらしい親の愛!
小さいながら、熱きハートのコチドリさんなのです!
見分けが難しいチドリの見分け方
チドリ類見分けムズカシイ問題
チドリって、いくつも種類がいてその実、とっても似ています。
コチドリは、一番小さいチドリ・・・とはいえ、海岸にうじゃっと居られたら、「あれ?なんだっけ??」となることは多いです。
というわけで、特に見分けのつきにくい「イカルチドリ」「コチドリ」「シロチドリ」のざっくりした見分け方をご紹介
見分けポイントは3つ
ポイントは、大きさとアイリングそして胸元の黒いネックレスライン!
体が一番大きいのがイカルチドリ。
一番小さいのがコチドリです。
また、アイリングが黄色く一番目立つのがコチドリ。
そして、アイリングが黄色いけれど細く目立ちにくいのがイカルチドリ。
さらに、アイリングが黒くほとんど見えないのがシロチドリ!
また、首元のネックレスラインがつながっていないのがシロチドリ。
顔の模様の入り方なども違いますが、ざっくりこれだけ覚えておけば見分けられます。
千鳥足のコチドリさん
千鳥足の由来?
酔っぱらってふらふらと、足元がおぼつかなく歩くさまを「チドリ足」と呼びます。
このチドリ足のチドリは・・・このチドリが由来。
水辺でチドリを観察していると、トトトトトト・・・・と、やや前のめったように、そして足元がおぼつかないような感じジグザグに進むチドリの姿を見ることができます。
一体、コチドリの足ってどうなってるの??
同じ場所にいるシギ類はあんな歩き方はしないなぁ・・・?
シギ類とチドリ類の足を比べてみると
なんと、シギにはある第一趾がチドリにはない!!
どうやら退化してしまったようです。
シギは、1歩1歩とまって捕食するのに対し、チドリが前のめりにトトトトトと小走りに走ってちょこまかと動き回りながら捕食します。
後ろ趾がないため、チドリはじっと立ち止まって捕食することが苦手なのかもしれません。
もしかしたら、あのちょっとおぼつかない足元も・・・そのせい?
さらに、コチドリの足を観察してみると・・・
更に、足を観察してみると・・・ん?水かきがある!!
しかも・・・第三趾と第四趾の間だけです。
第二趾と第三趾(内側)にはないんですね。
不思議!
ちなみにシギチドリの中には、普通に水かきがある種類や全くない種類もいます!
それぞれ、足を比べてみるのもおもしろいかもしれません!
観察のポイント
今日は、夏の水辺の人気のコチドリについて書きました。
ちょこちょこと動き回り、なかなか観察や撮影が難しい鳥でもあります。
コチドリを観察・撮影するポイントは・・・とにかく動かずに待つこと。
とっても警戒心が強い鳥なので、少しでも怖がらせるとさ~~~~っと遠くへ逃げてしまいます。
なので、とにかく追いかけたりせずじっと待つことが大事です。
その際、できれば身を低くして待つのがお勧め。
そうすると、驚くほど近くまで寄ってきてくれることがありますよ!
ちょうど5月6月はヒナが産まれる季節。
機会があれば、ぜひ河原や海岸で探してみてくださいね。
(くれぐれも巣やヒナに近づきすぎないように、鳥にストレスを与えないよう遠くから観察しましょう)
シギチの魅力
シギとチドリまとめて「シギチ」
チドリ目の野鳥は、今回取り上げたコチドリなどのチドリ科やシギ科やカモメ科などで構成されています。
また、そのチドリ科にも、冬鳥のタゲリや留鳥のケリなど様々な種類がいます。
さらに、シギ科も干潟にいる鳥や田んぼにいる鳥など様々な種類がいて本当に面白い魅力的な種類です。
シギとチドリでシギチという言葉で呼ばれ親しまれています。
旅をする鳥
しかし、その多くは旅鳥として春と秋の年二回しか日本に訪れません。
シギチファンのバーダーさんたちは、その年に二回の渡りの時期を心待ちにしているんです。
旅鳥だからこそ、普段見かけない珍しい鳥が混じることもあります。
だから、宝探し的な要素も加わって更に観察が楽しい!
スズメ目の小鳥さんも凄くかわいい!
しかし、是非この機会にシギチの魅力に触れてみてください!
また、下記の関連記事のコーナーに、シギチ関連の記事をリンク張っておきます!
凄くかわいく魅力的で奥深いシギチの世界。
是非、関連記事も読んでみてくださいね!!
ではまた次回!
関連記事(人と野鳥の付き合い方)
野鳥撮影のマナー!絶対に守って!完全マニュアル – mililie
野鳥撮影で三脚って必要?そろそろ辞めませんか? – mililie
関連記事(水辺の鳥 シギチドリ)
ハマシギの特徴と生態と観察ポイント【イラスト・画像あり】 – mililie
【今回使用した機材・画材】
ステッドラー水彩ペン
ホルベイン色鉛筆
NIKON D500
Nikkor AF-S 200-500mm f/5.6E ED VR