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ミサゴの特徴とその生態【イラストと画像あり】

目次

ミサゴ

コアラは水面に豪快に飛び込む猛禽類を発見しました
コアラは水面に豪快に飛び込む猛禽類を発見しました

ミサゴ急降下で海面へダイブした様子を目撃!!
魚を獲るのが上手な「空飛ぶ漁師」の異名をとる猛禽を、一緒に観察してみよう!

ミサゴの特徴

タカ目ミサゴ科ミサゴ属
タカ目ミサゴ科ミサゴ属
ミサゴの写真
上空を舞う海の漁師

ミサゴは、河川や湖沼、海辺など主に水辺に生息する猛禽類です。
主に、生きた魚を捕食していますよ。

全長55~64cmと大きな体の猛禽類です。
だいたいトビと同じくらいでしょうか?
翼を広げると180cm近くにもなるものがいるので、人間と比較すると結構大きいですよね!

余談ですが、何cmと言われてもあまりピンとこないとき・・・私はこの部屋にいたらどのくらいの大きさかなって考えます。
すると・・・「わ~~~~結構でっかい!!」とか「え~~~かなり小さい!!」とかリアルに大きさを感じられて面白いです。
大自然の中にいると、あまり大きく感じないものも・・・自分の周囲のものと比較するとぐっとリアルに想像できますよね。

どんな姿?

ミサゴの写真
翼がとても大きい!

彼らは雌雄同色。
背面と翼の上面は、ビターチョコレートのような黒っぽい茶色です。
虹彩(目の色)は黄色。
そしてお腹と翼の下側、そして顔も白く眼もとから首にかけて、茶色の太いラインがあります。
後頭部の短いちょっと寝ぐせっぽい冠羽もポイントですよ。
するどいかぎ状の嘴は、黒!
そして、魚をがっちりキャッチして逃がさない、がっしりとした脚は、青みがかった明るいグレーです。
また、海にダイブするため羽毛はみっちりと密集して生え、油分で防水加工されていますよ。

とっても渋くてカッコイイカラーリングの鳥さんです。

狩りの名人の秘密

秘密その1 偏光フィルターつきの目

ミサゴは10~50m上空から、水中の魚を物色し、狙いを定めます。
めっちゃ目がいいの!

鳥の目のスゴイお話はこちら↓

人間の知らない鳥の目の世界!自然はもっと凄かった。 – mililie


それだけれはなく、ミサゴの瞬膜はなんと偏光フィルターの役目を果たしていて、水面の乱反射を防いでいます。
なんと便利な・・・太陽が燦燦と降り注ぐ夏場には我が瞼にもほしくなる機能ですが、この機能をもつ瞬膜のおかげで魚を発見しやすくなっています。

秘密その2 がっしりとした脚

がっしりとした脚
彼らは、数十メートル上空から水面に向かってダイブし、魚を獲るため、その際のショックに耐えられるようながっしりした脚をもっています。

秘密その3 一度、掴んだら放さない!趾と足裏のイボイボ

一度、掴んだら放さない!がっちりした足と足裏のイボイボ
足は、がっちりとした趾、picule と呼ばれる足の外側にある棘、そして・・・足の裏(人でいうと手のひら)にあるイボイボの突起が特徴!
外側の趾は前にも後ろにも回すことができます。
そのため、足指の把握力は非常に強く、いずれも、魚をがっちりと掴み、放さないための特徴です。

ただ、この特徴が仇になることもあるようです。
というのは・・・ミサゴは20~40cmもの大きな魚を捕らえることができる名ハンター。


空飛ぶ漁師の異名も納得なのです。
しかし、まれに・・・思いのほかデッカイ獲物を捕まえちゃった場合悲劇が!
巨大魚を持ち上げられなくて、でも【がっちり捕まえたら放さない仕組み】の足のため、捕らえた巨大魚を放すこともなかなかままならない
結果、魚に海に引きずり込まれて溺死しちゃうこともあるんだそう。
う~~~む・・・諸刃のナントカ・・・って言葉を思い出しちゃいますな。
ミサゴさん・・・獲物選びは慎重に!

秘密その4 すぐれた飛行能力

ホバリングの写真
ホバリングしながら狙いを定める

ミサゴは、数十メートル上空から獲物を見定めます。
その際には、ヘリコプターのようにホバリングをし空中で飛びながら留まることもしますよ!
そして、獲物に狙いを定めたら・・・一気に足から急速降下!!!
足をギュィ~~ンと伸ばして、大きな足指をぐぐっと開いて・・・豪快な水しぶきとともに獲物にアタック!!
その際のスピードは時速130kmともいわれます
そのまま水深60cmほども飛び込むんですよ!(つまりは全身水の中!ってことも)

ちなみに・・・
あのニュースを騒がせた米国の飛行機オスプレイは、ミサゴの英名です。
ホバリングからの垂直降下というミサゴ独特の動きと同じことから、命名されたと思われますよ。

個性的な鷹

このように、ミサゴは水中での狩りという独特な生活習慣を持ったタカです。

古い図鑑などを見てみると、タカ目タカ科ミサゴ属と表記されているものもあります。
しかし、近年の研究成果により、タカ目ミサゴ科ミサゴ属と分類されることが一般的となりました。

これは、タカ科の中でも足指の柔軟性が高いことや、水中生活に特化した開閉式の耳や鼻などの形態的特徴の違い。
また、遺伝子研究や化石記録などの調査により、タカ科の他の種とは根本的に違った進化を歩んでいるとわかってきたからです。

空飛ぶおさかな

飛ぶミサゴの写真
とてもダイナミックに飛びます

ミサゴは、魚を捕らえると頭が前に来るように縦にして運びます。
まるで雑巾絞りの要領で器用に持って空を移動する姿は、まるで「空飛ぶお魚さん」。
お魚さんにはちょっと気の毒ですが、とってもユニークな姿です。
これは、魚を横に持つよりも空気抵抗が少ないからだと言われます。

答えはミサゴ
答えはミサゴ

ちなみに、ゲットした魚は岩や杭や流木の上に運び、ゆっくりと1時間以上かけて食べます。
瞬殺でゲットして、優雅にのんびりお食事!ってわけですね。
苦労してお魚ですから、ゆっくり味わってね!

ミサゴの食事シーンの写真
食事を始めるとなかなか動きません

ミサゴの生態

ミサゴは日本では留鳥として、日本全国に生息しています。

繁殖

ミサゴは、一夫一婦制です。
4~7月が繁殖期です。
営巣は、大きな岩や大きな木の上などに流木や枝などを組み合わせて作ります。
一度作ると、何年も同じ巣を修復して使います!

繁殖期に2~3個の卵を産み、メスが主に卵をあたためますが、その間、オスはメスにせっせと魚を運ぶそうです。
とっても夫婦仲がよさそうですよね。
妻思いの優しい旦那様、素敵ですな!

鳴き声

ミサゴはあまり鳴きません。
ただ、巣がちかいところでは、外敵を警戒して「キョッ キョッ キョッ」と鳴き声をあげることもあります。

知ることで守ろう!

ミサゴの写真
捕食者は生態系の縮図

ミサゴは日本では、準絶滅危惧種です。
都道府県によっては、絶滅危惧Ⅰ類に分類される県も多数。
ミサゴもほかの鳥と同じように、数を減らしています。
特に、西日本での減少が顕著のようです。

捕食者は生態系のトップ。
生態系を維持するために捕食者の存在はとても重要ですし、生態系が壊れている事を一番顕著に可視化できます。
近年、タカ目やハヤブサ目などの猛禽類が減っているという事は、生態系全体の危機という事でもあります。

生態系全体を確実に把握するのはとても大変です。
ですので、まずは可視化されている捕食者の保護、そこから全体のバランスを整えていくことが大切です。

無知が生む悲劇

前述で、ミサゴは海辺の岩の上などに営巣すること。
普段はほとんど鳴きませんが、巣の近くでは外敵を警戒して鳴くことがある書きました。
知っている人ならば、海岸の大きな岩などを見ると「あ、もしかしたらミサゴの巣があるかもしれないな?」「この時期だからヒナがいるかも」と思うかもしれません。

しかし知らないと・・・

近年、海岸の岩の上に巣があるため、釣り人が知らずに巣の近くで釣り竿を振り回してしまい
ミサゴが警戒音を出しているのに、それを知らない釣り人たちは気が付かず・・・
結果、親が巣に近づけずにヒナがカラスなどに食べられてしまう例や、警戒のあまり繁殖をやめて巣を使わなくなってしまう例がたくさんあるようです。

ただ知らないだけ。

多くの釣り人は、ただ知らないだけ。
ただ、その「知らないだけ」がこんな悲劇を生んでしまいます。

こういう場所にはミサゴの巣があるかもしれないな?
あ、ミサゴが警戒音を出しているな。

そう気が付くことが出来れば、【あえて警戒して鳴き叫ぶ野鳥を無視して釣りを続ける人】というのはそう多くないと思います。
みな、知ってさえいればきっと優しくできる。(mililieはそう信じます)
必ず、防ぐことが出来る悲劇だと思います。
みんなが、情報を得て知識を得ることで、減る悲劇というのはたくさんありますね。

そして、知っている人は情報を共有してもらえたら嬉しいです!
少しでも多くの人に、自然界の小さなSOSに気づいてもらえれば、多くの問題が解決すると思います。

まとめ

というわけで、今回は「空飛ぶ漁師」ミサゴについて書きました。

海や大きな湖沼で空を見上げると、大きな羽を広げて飛んでいるのはもしかしてミサゴかもしれません。
もしそうであったら、彼らの動きをじっと観察してみましょう。
ホバリングからの急降下!
そして・・・「空飛ぶ漁師」とともに空を飛ぶ魚も見られるかもしれませんよ!

ではまた次回!


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【今回使用した機材・画材】

ステッドラー水彩ペン

ホルベイン色鉛筆

NIKON D500

Nikkor AF-S 200-500mm f/5.6E ED VR



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